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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 「推し」の結婚に対する女性ファンの心理
内容  第三者からすると、ファンは応援する対象の結婚を心から祝福するものだと思うだろう。しかし現状は、推しが結婚することに対して嫉妬や寂しさなど複雑な心境を抱き、中にはロス状態に陥ってしまう女性ファンが多くいる。本稿は、推しの結婚に対する女性ファンの心理の実態に迫るため、自分の推しについてSNSで発信している女性ファンを対象にアンケート調査を行った。女性ファンには、母親が子を見守るような感覚で推す「母親目線」のファン、現実的恋愛感情を抱きながら推す「恋愛目線」のファンが存在しており、調査結果からは、推しが結婚することで抱く感情の特徴を「目線」ごとに掴むことができた。推しに対して「母親目線」であっても、「恋愛目線」であっても、推しが結婚することでネガティブな感情を抱く人が存在することが明らかになり、それは「母親目線」のファンは「子を取られる」感覚、「恋愛目線」のファンは「恋のライバルに取られる」感覚で、推しが「誰かのものになってしまう」ということに対して抱くものであった。ファンにとって推しは、偶像であってもかけがえのない感情体験を与えてくれる「家族同然」である故に、推しが結婚することで嫉妬や寂しさが生まれるのかもしれない。
講評  アイドルカルチャーにおいて、「萌え」の文化に代えて、AKB48の台頭以降に主流となった「推し」の文化。筆者はこの現象のなかで、「推し」の対象となるアイドルが「結婚」したときの女性ファンの受け止め方について、質問紙調査から回答を類型化している。調査結果からは二つの軸が発見されている。一つは「推し」の結婚という出来事を歓迎するか、ショックを受けるかという軸。もう一つは「推し」を「恋人」目線でみているか、「母親」目線でみているかという軸である。非常にクリアに多様性が捉えられているが、そこからどういう情報が得られるかが大事である。「推し」の結婚という限定的なトピックだけを尋ねるのではなく、アイドルファンのリアルな日常生活や家族のあり方をインタビュー調査で捉え、そのなかで「推し」の存在がいかに機能しているのかを捉えてこその社会学ではないか。
キーワード1 推し
キーワード2 ファン心理
キーワード3 結婚
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