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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 就職留年に至る意識構造の形成要因―社会階層と社会関係資本の観点から― |
内容 | 新型コロナウイルスがもたらした混乱により、新卒採用市場では「就職留年」という行為が再び注目を浴びつつある。バブル崩壊後やリーマンショック後に認知が広がった就職留年という行為は、今もなお「就職できなかった学生の最後の手段」として認識されていることが多い。本研究では、就職留年に至る意識構造の形成要因を把握し、就職留年に対する認識と現実の乖離を明らかにすることを目的とし、その行為の実態に迫った。 研究の結果、幼少期から高い教育を施されたことで得られた価値観や交友関係、親の志向の影響を強く受け、就職留年に至る意識構造が形成されることがわかった。これはいわば、「負け組の選択」としてステレオタイプ化されてきた就職留年という行為が、実際は、豊かな経済資本を生かして文化資本を蓄えてきた学生にのみ許された「特権」であることを意味し、同時に、親子間での社会経済的な地位の再生産を助長するものであることを意味する。 |
講評 | 就職活動を理由に留年する学生の存在は、これまで「就職が決まらずに留年せざるをえなかった人たち」と言ったように否定的・消極的なものとして捉えられてきた。本研究はこのようなステレオタイプ的な解釈に見直しを迫る内容となっている。当事者への聞き取り調査にもとづいて、就職留年を積極的な選択として位置づけ、そのような選択を可能にする条件として親の社会階層と社会関係資本の量、さらに大学進学時の「挫折の経験」の重要性を指摘した。自分自身も当事者であることをどう処理するかについては少なくない課題を残しているが、「就職留年」という先行研究のほとんど存在しない対象に取り組んだことや、当事者であるからこそ引き出せた語りは評価に値する。 |
キーワード1 | 就職留年 |
キーワード2 | 就職浪人 |
キーワード3 | 社会階層 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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