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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 留学生の居住状況と住居支援の変化
内容  本論文では、留学生の居住状況と近年における留学生住居支援の変化を明らかにし、留学生住宅支援制度の重要性を提示することを目的としてきた。まず、先行研究を通じて、新自由主義の影響を受け、政府は費用対効果を最大化する観点から国による留学生住居支援を大幅に縮小し、留学生の住居確保を大学などの留学生受入れ機関や民間にゆだねたことが明らかになった。そして、インタビュー調査では、中国人留学生の居住問題について考察し、住居の情報提供や留学生宿舎整備などの住居支援策が、外国人留学生に安心感をもたらし、さらに学業、交友関係など、留学生の生活の他の領域に積極的な影響を及ぼしていることがわかった。その一方で、住居が不安定になると外国人留学生の生活の諸領域において、負の連鎖が起こってしまうことになる。留学生の生活安定を確保するうえで、住居情報の提供、留学生宿舎整備などの住居支援策は不可欠の役割をはたしていることが明らかになった。
講評  在日外国人留学生の数は2019年に31万を超え、2008年に政府が示した「留学生30万人計画」は目的を達成したかのように見えるが、その間、留学生の居住支援は拡充されないどころか、(民間住宅の賃貸にあたり、大学が保証人を引き受けるといった)数少ない支援制度も廃止されるなど、自己責任論が跋扈している現状がある。本研究は中国人留学生への聞き取り調査に基づいて、外国人留学生が安定的な住居を確保するには大学や民間団体の支援が不可欠であること、また居住が不安定化すると学業や生活に大きな支障が生じることを示し、支援の強化が喫緊の課題であることを示した。コロナウイルス感染症拡大の影響など、今後のさらなる展開を期待したい。
キーワード1 留学生
キーワード2 居住問題
キーワード3 住居支援
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