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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 軽度の精神障害者の生きづらさとは何か |
内容 | 昨今、精神障害者の増加は社会的問題となっている。しかし、これまで障害者問題の多くは重度の障害者が中心に扱われてきた。そのため、精神障害者に関する研究の多くも重度の精神障害者が対象にされ、軽度の精神障害者は十分に扱われてこなかった。その軽度の精神障害者はどのような困難を抱えているのかについて着目したのが本研究である。研究の結果、障害が軽度であるからこそ抱える問題があることが判明した。軽度の精神障害者は障害が軽度であるゆえに「障害者」としても「健常者」としても上手く社会に適応できないという「どっちつかずのつらさ」を抱えている。そして、このような困難が就労の困難をもたらしていると考察できた。また、障害年金の給付対象にも該当しない人が多く、貧困に陥ってしまっている人が多い現状も明らかになった。「障害者」と「健常者」の狭間で生きづらさを抱えているのに関わらず、障害年金をはじめとする社会施策の対象からは漏れ出ているのである。軽度の精神障害者のつらさや貧困に瀕しやすい現状に対する社会的理解の普及が解決策となるのではないだろうか。 |
講評 | ゴッフマン『アサイラム』をはじめとする精神障害を対象化した社会学的研究は障害とは重度の精神障害であることを自明視してきた。それに対して本研究は、軽度の精神障害者の抱える問題が重度の障害者の抱える問題を軽度にしたものではなく、それとは質的に異なるものであること(問題が周囲に認識されにくいため、承認も支援もない、など)、そのような背景から軽度の精神障害者が貧困に陥りやすいことを文献や資料に基づいて整理し、示した。この点は障害者研究の領域における貢献として評価できる。このような問題を当事者の聞き取りなどによって実証することが今後の課題となるだろう。 |
キーワード1 | 軽度障害 |
キーワード2 | 精神障害 |
キーワード3 | 生きづらさ |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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