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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 被服行動におけるテイストの拘束性 ―他者のファッションセンスを序列化する大学生の語りから―
内容  「ファッションは自分の好みに応じて自由に行う一種の自己表現である」という言説は広く共有されているが、果たしてこの命題は真であると言えるのだろうか。本研究では、量的調査ではなく生活史の聞き取り調査によって、大学生のファッションに関するテイストの拘束性について分析した。先行研究はP.ブルデューをはじめとするテイストの社会学について示した。次に15名の調査対象者から、頻繁に他者のファッションのテイストを否定し序列化した2名を取り上げて分析し、テイストの拘束性について分析を行った。結果として、ブルデューが示したような階級による拘束に加え、ストリートファッションという界における拘束、他者のテイストの否定という行為に内在する拘束が存在することを示した。最後に、対象者の属性やインフォマント数などにおいて限定性のある点が本研究の課題である。
講評  1970年代末にブルデューが『ディスタンクション』で示した「テイストの社会的拘束性」の議論は、その後ブルデューの分析が趣味や性向をあまりに一面的、統合的に捉えすぎているというライールの議論や、階級構造の異なる日本にはブルデューの分析は日本にはあてはまらないといった批判などが向けられてきた。このような先行研究をふまえつつ、本研究は現代社会におけるファッションのテイストの社会的拘束性を検討した。
 ファッション好きの大学生がSNSなどを通して他者のファッションを批判するという行為に注目し、このような学生たちが自分たちもどこか批判をおそれながらファッションを選択していることを浮かび上がらせ、つまりブルデューがディスタンクションで示したのとは、少し異なる角度からの「テイストの拘束性」の可能性を示した。サンプル数を増やして、今回示された仮説を実証することを期待したい。
キーワード1 ファッション
キーワード2 テイスト
キーワード3 ブルデュー
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