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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 社会運動と参入する大学生―運動体としてのサークルを通して形成される問題意識― |
内容 | 若者による社会運動が、政治離れという印象へのカウンターとしてよく語られる。その文脈において若者は、同年代の若者と共に社会運動を作り上げていく存在としてみなされているが、社会運動に関わるのはそのような若者ばかりではない。本研究は、自分達で運動を作り上げているわけではなくとも、運動の一員として「若者」として運動を構成している若者の主体性に注目した研究である。 社会運動に参入した若者は、問題や活動の在り方に対しての学習と、それぞれの活動の場でのそれの実践を反復する。誘因としては主に3つ。一つは、「支援者として部外者に問題点を説得しないといけないから」、二つ目は「当事者に対して関わり方を失敗してはいけないから」、最後は、「先輩として後輩に問題を教えなければいけないから」である。つまり、社会問題における主体性、どこに問題意識を持つのか、どう問題意識を表明するのかは、組織や他の立場のメンバーとの関りや、条件によって制限されるのではないだろうか。 |
講評 | 本研究は、2020年に活性化した「入管法改正反対運動」に注目し、入管施設被収監者の支援活動などを行う学生サークル活動への参与観察を通して、学生がなぜ社会運動に参加し、どのように活動するのかを分析した。若者の社会運動を対象化した先行研究が主体的に活動する若者像を示してきたのに対し、本研究は他の労働運動組織などと密接な連携を行う同サークルの若者たちが様々な拘束の中で活動し、その隙間で主体性を模索するさまを描き出した。調査対象に深くコミットし、ラポール形成を行って多くの質の高い情報を集めた点や、そのようなデータに基づきながら「主体性」なるものが所与のものではなく、拘束の隙間に宿ることを指摘した点は、本研究の重要な貢献として評価したい。その一方で機能主義的に対象を突き放したような記述については課題も残した。対象と研究者が切り離された学問領域とは異なり、社会学の面白さは対象と研究者を切り離すことができない点にあるからである。今後の展開に期待したい。 |
キーワード1 | 若者の社会運動 |
キーワード2 | 支援組織 |
キーワード3 | 主体性 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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