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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 少女小説・映画に描かれる「自立した女性像」の変化―オルコットの『若草物語』と『ストーリー・オブ・マイライフ――わたしの若草物語』の表象の比較分析―
内容  本稿は創作物における表象が社会で広く共有される価値観によって作り上げられたものであるという見地から、表象と価値観の関係性を明らかにすることを目的としている。なお、本稿では近代家族や家父長制などの規範によって男性の権力が補強された社会を背景に置いた「女性像」の変化を分析する。ついては、研究対象は比較が可能な作品が望ましいと考え、ルイザ・メイ・オルコットの『若草物語』と同作品を原作とした映画作品である『ストーリー・オブ・マイライフ――わたしの若草物語』を研究対象に設定し、表象研究を行った。
 表象分析と考察では、家父長制の社会の中で女性は家庭との結びつきが男性よりも深く、常に自分自身が所有される立場に置かれてきたことを明らかにしている。また、権力を持つとされている男性だが『若草物語』の中では「逞しい男性像」が描かれていないことにも言及し、家父長制に対する表象の意図の分析を行っている。そして、表象の変化は「自立した女性像」をもって分析を行い、従来の経済的自立から社会的自立の要素を強くして描かれていることを明らかにし、表象を通した新たな規範の提示の可能性について考察した。
講評  本研究は19世紀に書かれたオルコットの小説『若草物語』と、原作を2020年にガーウィグが映画化した『ストーリー・オブ・マイライフ??わたしの若草物語』を取りあげ、ジェンダーに関する問題がどのように描かれているのかを比較検討した。原作でも映画作品でも「女性の自立」は中心的なイシューとして描かれているが、結婚の位置づけや「自立」の捉え方などには大きな違いが見られ、それは各作品の作られた社会と時代を反映していることが明らかにされる。主に四章で展開される原作と映画のセリフや表象の比較分析は緻密で鋭い内容を多く含んでおり高く評価できる。女性運動に深くコミットしていたオルコットやガーウィグのライフヒストリー、また当時の米国社会についてのより詳細な記述があれば、本研究の論証はさらに説得力を増したはずだが、論理展開や文章力には抜群の安定感があり、読み応えある論文となっている。
キーワード1 ジェンダー
キーワード2 表象研究
キーワード3 近代家族
キーワード4  
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