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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 当事者との関係における非当事者たちのポジショナリティ??「黒人差別をなくす会」を例に??
内容  本研究は、しばしば当事者と呼ばれる人々と対置される非当事者たちのポジショナリティに注目するものである。これまで支援者と呼ばれてきた人々を「非当事者」としてとらえなおしてみると、そこには特権や困難といったものを見ることが出来る。「当事者運動」が盛り上がりを見せる中、「戦う」主体として描かれてきた当事者たちとの関係の中でそうした特権と困難は存在していた。ここでは主に非当事者たちが抱える困難に注目し、その1つの例として「何の資格があって、そんなことが言えるのか」という問いかけに答えなければいけないことを挙げる。ときに語ろうとする非当事者を黙らせてしまうほどに強い資格の問いかけとはどのようなものであったのか。そして、非当事者たちはどのように応答してきたのかを日本人の親子3人で結成された市民団体「黒人差別をなくす会」の事例に求める。
講評  1980年代に国内外で大きな注目を集めた「黒人差別をなくす会」について膨大な資料を収集して読み込み、また当事者、関係者へのインタビューを様々な困難にもかかわらず粘り強く重ね、「なくす会」を忘却から掘り起こし、その評価を試みた点は本研究の第一の意義として高く評価したい。調査を通して、著者の関心は徐々に「なくす会」の歴史的意義から、より理論的な問いへと移行した。それが「非当事者というポジショナリティで語ることがいかに可能か」という問いである。論文の後半では、著者は宮地の「環状島」論やスピヴァクのサバルタンの議論など、さまざまな文献を渉猟しながら、この「非当事者の語りの可能性」を検討する。前半と後半の議論の接合には課題を残してはいるものの、その一方で「最良の研究は最後に問いを見つけること」(G.ノワリエル)であるならば、本研究はそれを達成したことになる。
キーワード1 非当事者
キーワード2 当事者
キーワード3 ポジショナリティ
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