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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 技能実習生のいる村―地方創生、技能実習生、多文化共生を抱える町を「集落」から見つめ直す―
内容  「多文化共生」とは何か。この言葉にはどんな力があるのか。人口減少が進む只見町は、近年技能実習生の増加に伴い「多文化共生」という文言を町政に取り入れた。しかしながら、実際には町による「多文化共生」への取り組みはなく、技能実習生が生活する集落で独自の迎え入れがなされているのが現状だ。
 筆者は「二軒在家」と「小林」という2つの集落を調査地に、技能実習生と地域住民がどのように出会い、関係形成してきたのかを調査した。本稿では、集落から見えた結果から町が掲げる「多文化共生」を批判的に検討し、より実践的な「多文化共生」を草の根から提案することを第1の目的とし、その課題として「集落の解体」が進んでいることを示す。さらに、それは「地方創生」と「多文化共生」が共有する課題であることを示し、現状2つの政策に隔たりがあることから、それらを接合していくことを第2の目的に、いくつか事例を紹介し結論とする。
講評  本研究が対象とする福島県南会津郡只見町は、人口約4000人、高齢化率が5割近く、高校卒業後に町に残る若者はほとんどいない、過疎化の著しい地域である。その只見町で2018年から外国人技能実習生の受け入れが始まり、「多文化共生」が課題となっている。だが本研究が光をあてるのは施策としての「多文化共生」ではなく、日常において「外国人」と「地域住民」がどのように出会い、関係を形成しているのか、である。二つの集落に調査の焦点を定め、インドネシア人技能実習生、受け入れ企業、町役場の職員、住民と地域社会の多様なアクターへの聞き取りと観察を重ねることで、「迎え入れ」や相互扶助関係への参加の重要性、技能実習生が置かれた厳しい労働環境、「外国人」と「地域住民」の非対称な関係性、日常の人種主義などの問題を浮かび上がらせることに成功した。しかし著者が何よりも強調するのは、共生において「集落」が果たす重要性と、その解体による共生の不可能性であった。二つの集落における関係の違いの分析はもう少し検討の余地があるし、只見町をグローバル、ナショナル、リージョナルな視点で捉えるとより奥行きが広がったであろうが、それは今後の課題としてほしい。著者自身の社会関係資本を駆使した厚みのあるフィールドワークと、先行研究の丁寧な読み込みで、「多文化共生」研究に一石を投ずる内容となった。
キーワード1 技能実習生
キーワード2 多文化共生
キーワード3 社会関係資本
キーワード4 地方創生
キーワード5  
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