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学科 社会学科
年度 2021
ゼミ名 森 千香子
タイトル 番組小学校の再開発から見る京都市都心部の自治とコミュニティ――元植柳小学校跡地開発を事例に――
内容  少子高齢化が進み、子どもの数が減少していく中で閉校する小学校が増えている。本論文は他地域の小学校とは異なった特徴を持ち、地域のコミュニティの核を担ってきた京都の番組小学の閉校後の再開発における跡地活用に焦点をあてている。そして、閉校後の地域コミュニティや京都の自治制度について考察している。
 一章では、研究の背景について述べる。
 次に二章では、都市統治やこれまでの番組小学校の跡地開発の事例研究や京都の自治やコミュニティについての先行研究と本論文の意義を提示する。
 三章と四章では番組小学校跡地開発の一連の流れと本調査対象と調査法について述べる。
 そして五章では4名の方に行ったインタビューの内容を元に、考察を行う。
 結果として、六章では政策立案者と住民の意識の乖離の存在を指摘している。また、この開発によって明らかになったサイレントマジョリティが、学区内の自治やコミュニティの崩壊の危機を暗示していると考えられる。そして今後は、開発されたホテルが地域のコミュニティ形成の一助になるかを他事例とともに検討していく必要があると考える。
講評  少子高齢化が年々きわめて深刻になるなか、公立小学校の跡地をどのように活用するかという問いは多くの自治体できわめて重要なイシューとなっている。だが1868年に東京奠都が起きた後に、番組小学校設置など独自の歴史を育んできた京都市において、小学校は単なる教育機関ではなく、地域の自治が行われる場という性格をもっており、そのために小学校跡地再開発は大きく異なる意味をもつことを著者は示す。そして、このような事情を背景に、本研究は下京区の元植柳小学校跡地開発を事例に、小学校再開発が京都市という土地においてもつ意味を探る。なかでも興味深いのは、再開発事業は京都市とデベロッパーの「協働」によって進められたが、同地区で再開発に反対する住民たちの批判の矛先は行政のみに向けられていたことの指摘である。以上の原因が地域社会の高齢化と空洞化にあるのか、それともマクロな構造的問題に起因するのかについては本研究では明らかにされていない。より詳細な研究が行われることを期待したい。
キーワード1 番組小学校
キーワード2 再開発
キーワード3 コミュニティ
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