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学科 | 社会学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 立木 茂雄 |
タイトル | 自己受容と大学生の一人暮らしの関連について |
内容 | 本稿では、大学生が実家から離れ一人暮らしを行うことで自己受容が為されるのか、その過程を明らかにすることを目的とする。女子大学生Aさんが一人暮らしを始めてから購入・入手したものについて、その経緯とどのように使用しているかエピソードとして書き起こした。Aさん自身の部屋とものの位置の関係には、自己物語における「語り得るもの」と「語り得ないもの」が反映されていることがわかった。「語り得ないもの」とは価値判断が為されていないもので、外部からの刺激が価値判断を行うきっかけとして不可欠である。Aさんは記号的消費を繰り返すことで自立した自己としての物語を紡いでいった。しかし、帰省などで両親との距離が縮まると依存傾向が高まることも明らかになった。ここで重要なのは、自己は可変的であるという可能性を認識することである。肯定的なあきらめとしての自己受容とは、変えられるものは何か知ることであり、Aさんの場合、自己は環境次第で変わるという可能性を認識したことで自己受容を達成できたことが明らかになった。 |
講評 | あるインフォーマントの1人暮らしをきっかけとした自己受容の過程について研究を行いました。インフォーマントから自己受容過程を反映するデータを入手するため、インフォーマントの下宿先にあるモノの入手経緯、使用頻度、配置場所の変遷などをつぶさにデータ化しました。消費記号論と自己物語論にもとづき分析した結果、モノの記号的消費により「語られる自分」を意味づけする過程を通して、家族という社会集団から自立した自己が存在しうることを明らかにしました。丁寧なインフォーマントからのログ収集から、当事者の自己受容過程の考察へとつなげており、今後のゼミ生の参考になるような「私社会学」を実践できました。 |
キーワード1 | 自己受容 |
キーワード2 | 自己物語論 |
キーワード3 | 消費記号論 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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