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学科 メディア学科
年度 2021
ゼミ名 佐伯 順子
タイトル 戦前の「おしゃれ」雑誌『スタイル』のメッセージ性 ~初期の記事分析から~
内容  「おしゃれ」に焦点を当て、独自の路線を築いた雑誌『スタイル』は戦争の影響を受ける前である初期、どのようなメッセージ性を持っていたのだろうか。本稿では、初期の分析を行うため、第1巻1号から7号を資料とし、メッセージ性を考察している。また、過去の『スタイル』に対する評価についての再考、『スタイル』の雑誌分類も行っている。
 その前提として、『スタイル』が創刊された1936年の日本の状況、他の女性雑誌、人々のファッションの考察も行った。
 分析の結果、『スタイル』は自己表現の大切さ、女性の自由、内面の大切さ、という当時の人々にとって重要な3つのメッセージ性を持っていることが明らかになった。『スタイル』についての過去の「低俗なアメリカニズム」との評価に対しては、女性におしゃれと自由を発信する最先端の女性誌であったという再考の結果を導いた。また、雑誌分類については、ファッションという側面と文化や趣味、エチケットやマナーなどの生活という側面、どちらもから「おしゃれ」を希求した独自の路線を築いた雑誌であると結論付けた。
講評  戦前の「おしゃれ」雑誌である『スタイル』の質的、量的な記事分析を通じて、『スタイル』が単なる女性むけファッション誌ではなく、「自己表現」「女性の自由」「内面重視」という女性の生き方全体に関する提言をする深いメッセージ性をもつ媒体であったことを明らかにした。復刻版にもとづく詳細な記事分析をもとに、記事の種類を三分類したうえで、『スタイル』のメッセージを分析した本論文は、雑誌という媒体自体が若い読者に関心をもたれにくい現状において、あえて古い雑誌研究に挑戦し、『スタイル』を「女性モード誌」と分類する通説に疑義を提示し、ファッションではなく「おしゃれ」という鍵概念をもとに、『スタイル』の総合雑誌的な性格を実証的に明らかにした点で高く評価できる。
キーワード1 おしゃれ
キーワード2 自己表現
キーワード3 自由
キーワード4 内面
キーワード5  
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