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学科 教育文化学科
年度 2021
ゼミ名 奥井 遼
タイトル 辺野古ゲート前の日常-社会運動における異質な他者の「包容」の原理-
内容 本稿では、沖縄県名護市辺野古の新基地建設反対運動において、異質な他者を排除しない「包容の原理」が働いていることを、運動の現場における「ゆるさ」と新規参入者や敵対者への態度から明らかにした。運動の現場ではしばしば見られる緊迫した場面と対照的に、替え歌や食事の場面に垣間見える「ゆるさ」が存在している。その「ゆるさ」は、運動でできた関係性をそれだけに留めず、ものや時間を共有した仲間として存在させる。また新規参入者にはデモ参加者内で対応の役割が暗黙のうちに決まっている。基地関係の労働者に対しては、仕事と意志を切り離して接しているが、米兵に対して冷淡な態度を取るのは、県民や国民を守るはずの米兵が日米安全保障条約によって守られているという矛盾に対抗するためである。包容するものと排除するものに線引きをしながらも、できるだけ人間的であろうとするのは、辺野古や沖縄に蔓延する不条理に対抗するためである。
講評 社会運動といえば大声で訴えを続けるデモ活動の場面が想起されるかもしれないが、それは運動全体のごく一部にすぎない。本稿は、沖縄での集中的なフィールドワーク(参与観察およびインタビュー)をもとに、辺野古の新基地建設反対運動を担う人たちの行為やコミュニケーションを丁寧に分析することで、当事者コミュニティのあり方に「包容の原理」を見出した労作である。運動中の「ゆるさ」や、外部の新規参入者を排除せずに迎え入れること、さらには工事関係者にすら心を開いて話しかけることについての記述から、参加者たちの「人間的」な姿がありありと浮かび上がる。筆者の細やかな眼差しと文体の端々には、「内地」に生きる私たちに対する鋭く重たい問いかけが込められている。
キーワード1 新基地建設反対運動
キーワード2 抗議運動
キーワード3 運動現場のゆるさ
キーワード4 異質な他者
キーワード5 包容の原理
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