詳細 | |
---|---|
学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 断食体験から考える宗教と科学の共通点 |
内容 | 本稿は、科学・宗教の両者の観点から研究・考察されてきた断食を中心に科学と宗教を比較検討し、今日互いに相容れないかのように思われる宗教と科学の共通点を探ることを目的としている。筆者は滋賀県のキリスト教系の断食施設にて2泊3日の断食体験を行ってきた。この参与観察で得た情報と、同時期に断食体験を行っていた方・施設を運営する方へのインタビューを事例として検討した。その結果、宗教的な行為が科学的行為と同様にその効果や方法において実践的・論理的な根拠に基づいており親和性を持つ点、宗教と科学は対立するのではなく、科学も宗教と同様に正しいと信じられていることによって社会に受け入れられている点が明らかになった。以上の結果から、宗教を社会から排除するのではなく災害支援や倫理問題の合意のための言説といった科学で扱いきれない領域の説明を宗教に期待することで、宗教と科学とがそれぞれ補い合って社会に共存していく必要があるという考察を得た。 |
講評 | 健康についての関心が多方面で高まる今日、「断食」の実践はもはや宗教的な行の範囲を超えて普及しつつある。本稿は、断食をめぐる文献調査や関係者へのインタビューに加え、筆者自ら断食体験を敢行し、一人称的な記述をも組み入れるというユニークな方法によって構成される。科学的な言説を積極的に取り入れる断食道場および参加者の根本にある宗教性を描き出しつつ、宗教と科学の二元論的区別を越えた関係を追求することを試みた。自らの断食体験を一次資料とするにはあと一歩踏み込みが足りなかったものの、宗教と科学との関係という古典的なテーマを今日改めて問いなおした力量は評価されてよい。 |
キーワード1 | 断食 |
キーワード2 | 宗教 |
キーワード3 | 科学 |
キーワード4 | 宗教の公共性 |
キーワード5 | |
戻 る |