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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2021 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 昆虫食受容における文化的アプローチ―伝統食としての昆虫の価値の再検討― |
内容 | 本稿では、昆虫食受容に関する既存の研究・調査の多くが、心理学的アプローチによって昆虫食受容を高める可能性を模索している傾向があり、それゆえに過去に人類が昆虫を食していたという歴史的背景や、現在でも一部の国や地域で食される伝統食としての昆虫に焦点があてられた研究・調査が少ないことから、昆虫食受容を高めるための文化的アプローチについて考察し、マイナーサブシステンスの観点から、昆虫をただ食すだけではなく、採集することの楽しみやそれを共有するコミュニティの存在自体が有意義なものであるという、昆虫食文化に内包される「営みとしての価値」を見出した。また心理学的アプローチからは、害のない昆虫にさえ嫌悪する衝動は、その有無にかかわらず、昆虫が病原体などの不衛生なものを持っているかもしれないという危惧に由来するものである可能性を示した。 |
講評 | 食に対する魅力や忌避感が生まれるメカニズムについての問題関心を出発点として、筆者は近年注目されつつある「昆虫食」に対する人々の受け止め方をテーマに据えた。昆虫食への忌避感について先行研究から導き出された心理学的構造を典拠としつつ、生理的な機序には還元されない文化による知覚・価値観の形成という面からも考察しようとする意欲作である。筆者自身が調査のため昆虫食コミュニティにも出入りし、自ら昆虫食を試し、関係者へのインタビューも含めて複層的に分析を重ねた点も評価される。各章の内容を有機的に結び付けられなかったという若干の問題を有するものの、テーマそのものの新規性を活かしたインパクトを有している。 |
キーワード1 | 昆虫食受容 |
キーワード2 | マイナーサブシステンス |
キーワード3 | 食文化の西洋化 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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