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学科 産業関係学科
年度 2021
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 若者の早期離職とキャリア形成・職業能力開発
内容 このテーマを選んだのは、大学の講義やニュースで大卒で入社した若者の3年以内の離職率が3割を超えていることが労働市場の大きな問題である、ということを学んだがそれを踏まえてアルバイトで働いている際の周辺の方々を振り返ると、なぜ若者が早期退職してからすぐに働き続けないのか、またなぜフリーターに滞留するのか、フリーターやニートに留まり続けるのには何か理由があるのではないか、と考えたからだ。若者の労働問題を語る上でフリーターやニートの存在も捨て置けない。若者の政策に関して社会問題とされてきたのは1999年と非常に遅かった。日本式の新卒一括採用、終身雇用、年功序列型の賃金という特徴がこれまでは若者の失業率の低下に貢献してきたが、その特徴が逆に日本の若者に直撃したと言える。またその若者への支援が遅れたためにフリーターやニートの増加を生み、また早期退職者の再就職出来ない状況を生み、若者のニートやフリーターたちの収入の減少とそれを抜け出せない状況を生み出したことで日本の非婚や晩婚化が加速、少子高齢化へとつながり税収の減少、それに伴う社会保障費が必要な人に必要なだけ届く、といったことがなされてこなかった。最悪の日本の悪循環を招いているのである。私が思うに、たしかに若者への公共の就業支援は全ての都道府県で受けられる、また気軽にあらゆるサービスをプロから受けられるといった対策がなされたが、それらの情報を手に入れていないフリーターやニートが多いように感じる。私が提案するのは、企業から積極的に正規労働者として働きかけるシステムの構築と就職するにあたってその活動期間の賃金をある程度補償する革新的な補償が必要であると考える。
講評 皆さんから提出された卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「日本型雇用慣行の限界と課題」「若者の早期離職とキャリア形成・職業能力開発」「WLB・女性活躍・育児休業制度」「外国人技能実習制度とイミグレーション問題」「労働組合の現状と抱える問題」「USJのマーケティング戦略と人的資源管理」等々となっています。たしかに論理的な記述や内容把握の深さという点では,個々の論文を取り上げてみると,精粗や優劣もあったように思います。けれども,コロナ禍の下での就職活動という大きな困難の中でも,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労をしてくれた研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを卒論作業の締め括りの講評としたいと思います。
まず大切なことは,一つには,論文の出来映えを決めるものは,政策提言の「良否」にではなく,問題把握や理解の深さにこそあるのだということです。そして,そのためにも,幅広く学習するという態度をもって欲しい,そうした要望です。やはり参考文献の数が多く,広い視野から問題を考察している論文ほど,出来映えが良いように思われました。よく言われる「建築」のアナロジーで例えれば,「高い建物」を築くためには,「広い土台」が必要になるということです。これは学問の世界に限らず,皆さん方の多くが足を踏み出す企業経営の世界でもそうだと思います。人事職能なら人事職能で,多様な製品事業部を経験する。営業なら営業で,国内・海外で多様な地域を経験する。そして,その一コマ一コマで学習が必要になる,そういうことだと考えて下さい。
また,関連していま一つには,「わかりたい」という気持ちこそが大事なのだということ,この点を強調しておきたいと思います。「幽霊の正体見たり,枯れ尾花」という有名な言葉があります。敢えて勝手な例え方をすれば,研究を通して「正体」を突き止めれば,人を脅かす怪異な「幽霊」も消えて行くのだと思います。学問の深まりが,そうした意味で人間社会の「自由」を拡大する。今も心に残る,若い頃に先生から教わった考え方です。予め役立つこと,目的地を定めた研究も,たしかに必要でしょう。けれども,私は「わかりたい」という気持ちを,一番大切にして欲しい。そのように考えています。
とはいえ,まずは「隗より始めよ」とも言われます。卒論の評価基準というよりは,考察や研究論文の執筆の際の心がけだ,そのように考えて下さい。        <以上>
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