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学科 産業関係学科
年度 2021
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 職業能力開発の重要性 -コロナ禍で見るキャリア形成-
内容 本論文では個人の主体的なキャリア形成を支援する人材育成戦略として、なぜ職業能力開発が重要視されるのかをコロナ禍におけるキャリア形成の観点から考察する。職業能力開発の歴史的な進歩と最新の第11次職業能力開発基本計画までの過程を知り、コロナ禍における企業で働く労働者のキャリア形成支援はどのように行われているのか、職業訓練の種類とコロナ禍における求職者支援制度について述べている。
コロナで職を失った人や希望の職業が無くなった人々が社会の中で働くことを通じた自己実現を図っていくために職業能力開発は大きな意味を持つものであり、厚生労働省は人々が能力開発をしやすい環境をさらに作り出していることが分かった。
能力開発が重要視される理由は、労働市場における自分の可能性を高めることで、職業の安定や社会的な公正・公平の実現を繋げるためである。特に若年期に、教育から就業への円滑な移行を進め、その後の職業生活の基礎を形成するための職業意識形成まで行い、労働者の職業生活が長期化していく中で、今後の生活とのバランスを考え、自分の目的や職業の選択、職業能力開発向上のための取り組みを行っていくことが理想である。
講評 皆さんから提出された卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「日本型雇用慣行の限界と課題」「若者の早期離職とキャリア形成・職業能力開発」「WLB・女性活躍・育児休業制度」「外国人技能実習制度とイミグレーション問題」「労働組合の現状と抱える問題」「USJのマーケティング戦略と人的資源管理」等々となっています。たしかに論理的な記述や内容把握の深さという点では,個々の論文を取り上げてみると,精粗や優劣もあったように思います。けれども,コロナ禍の下での就職活動という大きな困難の中でも,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労をしてくれた研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを卒論作業の締め括りの講評としたいと思います。
まず大切なことは,一つには,論文の出来映えを決めるものは,政策提言の「良否」にではなく,問題把握や理解の深さにこそあるのだということです。そして,そのためにも,幅広く学習するという態度をもって欲しい,そうした要望です。やはり参考文献の数が多く,広い視野から問題を考察している論文ほど,出来映えが良いように思われました。よく言われる「建築」のアナロジーで例えれば,「高い建物」を築くためには,「広い土台」が必要になるということです。これは学問の世界に限らず,皆さん方の多くが足を踏み出す企業経営の世界でもそうだと思います。人事職能なら人事職能で,多様な製品事業部を経験する。営業なら営業で,国内・海外で多様な地域を経験する。そして,その一コマ一コマで学習が必要になる,そういうことだと考えて下さい。
また,関連していま一つには,「わかりたい」という気持ちこそが大事なのだということ,この点を強調しておきたいと思います。「幽霊の正体見たり,枯れ尾花」という有名な言葉があります。敢えて勝手な例え方をすれば,研究を通して「正体」を突き止めれば,人を脅かす怪異な「幽霊」も消えて行くのだと思います。学問の深まりが,そうした意味で人間社会の「自由」を拡大する。今も心に残る,若い頃に先生から教わった考え方です。予め役立つこと,目的地を定めた研究も,たしかに必要でしょう。けれども,私は「わかりたい」という気持ちを,一番大切にして欲しい。そのように考えています。
とはいえ,まずは「隗より始めよ」とも言われます。卒論の評価基準というよりは,考察や研究論文の執筆の際の心がけだ,そのように考えて下さい。        <以上>
キーワード1 能力開発
キーワード2 キャリア形成
キーワード3 コロナウイルス
キーワード4 求職者支援制度
キーワード5 職業訓練
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