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学科 社会学科
年度 2022
ゼミ名 轡田 竜蔵
タイトル 「食」を通じたローカルなつながり ー向島の移住者を中心とした地産地消の祭ー
内容  近年、若者の地方移住への関心が高まっている。多くの学者は地方移住への関心が高まる背景に、若者のつながり重視の傾向があると述べている。本研究では、こうしたローカル志向を持つ若者が増加している筆者の地元、尾道市向島(むかいしま)の事例に着目する。向島では約2年前から、飲食店と生産者のつながりが生み出した地産地消の祭が行われている。参加飲食店はIターンまたはUターンをし、向島で開業した方が多い。彼らはなぜ向島に飲食店を開くのか、という問いに対して、スローライフを求めているのではないかという仮説を立てて研究を進めた。調査対象者の語りから、向島の「ハードルの低い島ぐらし」と「適度なつながりのある人間関係」に魅力があることが分かった。また、それらを求める移住者は地産地消の祭により向島の地域資源を発掘し、向島にポジティブな動きを生み出す存在であった。移住者を中心とした向島における地産地消の祭は、今後も更に向島を盛り上げるキーイベントとなるだろう。こうした活発な移住者を更に受け入れるため、向島の暮らしやすさと人間関係の適度なつながりを重視していくべきだと考える。
講評  広島県尾道市の中心市街地から尾道水道を隔てて対岸の島・向島。この島を地元として育った筆者が、島内に移住者が開いた飲食店の増加に興味を持ち、執筆した論文。尾道市街地は観光地で、地域づくりに関する有名プロジェクトが多いが、そちらではなく、有名な地域資源がない向島に絞って考察し、「トカイナカ」移住の特質を丁寧に描いている。筆者が注目した「地産地消の祭」は、行政主導でも地縁組織主導でもなく、2015年以降に島に飲食店を開いた島外出身者同士のつながりから生まれたイベントとして興味深い。飲食店に絞った取材をしているが、欲を出して周辺の都市部、一次生産者、まちづくり関係者等との関係も視野に入れれば、イタリアで盛んなアグリツーリズムやスローフード、テリトーリオ戦略等の比較等、「食」を媒介にした都市-農村関係の研究として発展しうる内容である。
キーワード1 移住
キーワード2 つながり
キーワード3 地産地消
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