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学科 社会学科
年度 2022
ゼミ名 森 千香子
タイトル 「お笑いの場」における傷つきやすさと作り手の葛藤―「人を傷つけないお笑い」は存在するのか―
内容  近年の日本において「お笑い」は、ただ「面白い」だけでなく「人を傷つけない」という要素が評価の対象となる傾向にある。本研究では「人を傷つけないお笑い」の渦中にある「お笑い」の作り手がどのような葛藤を持っているか、また「他者を傷つけてはいけない」という表現の規制と作り手が持つ表現の自由とが、「お笑い」の場においてどのように共存しているのかを作り手視点から検討する。
 本調査ではお笑い制作を学ぶ養成所での参与観察、その養成所を卒業し、お笑い業界に就職した3名に非構造化インタビューを行った。調査の結果、制作の場において自由な表現は基本的に認められるものの、多くの受け手に受け入れられるために、伝え方を検討しなければならない作り手の姿が映し出された。表現を規制される中での葛藤とは、作り手個人が持つ「正しさ」という表現の追求であるといえよう。
講評 民主主義における最重要価値の一つである「表現の自由」と人を傷つけてはならないという倫理的要請はいったい両立しうるのだろうか。このような極めて普遍的な問題を現代日本の「お笑い」という観点から切り込んだ点で、きわめてオリジナリティが高く、かつ野心的な研究だ。先行研究の読解も、難解な文献に果敢に取り組み、調査も精力的に続けた。論文中の分析では主に秋に追加調査として行ったインタビューの内容(件数は限られているが、ラポールがしっかり作られた上でのインタビューだったこともあり、内容はきわめて面白い)が用いられていたが、考察の根底には、お笑い制作養成所での長期にわたる参与観察が生かされていた。
キーワード1 お笑い
キーワード2 傷つきやすさ
キーワード3 ポリティカル・コレクトネス
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