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学科 | 社会学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | ポスト哈日現象時代における台湾人日本語学習者の日本への眼差し |
内容 | 哈日現象とは1990年代後半から2000年代前半において、台湾社会で日本への強い愛着を形成した社会現象である。本論文では、哈日現象のピークを経験していない現在の若い台湾人日本語学習者が日常生活でどのように日本の要素に触れ、何がきっかけで日本語学習を始めたのか、日本語学習などの日本経験を通すことでどのような日本へのまなざしを形成しているのかを、インタビュー調査を通して明らかにする。 調査を通して以下のことが示された。まず、若年層日本語学習者が家族を通して日本に触れた場合、父母の影響が大きいと明らかになった。哈日族は日本統治時代を経験した祖父母の日常から日本に触れていたため、家族を通した日本経験において世代交代が起こっていると言える。次に、若年層日本語学習者は日本を日常化していると考えられる。哈日族と比較して、若年層日本語学習者は幼い頃から日本の要素に気軽に触れることができる。そのため、若年層日本語学習者は〈日本〉を自分自身のアイデンティティの一部としてより取り込むために日本語を学んでいると考察する。 |
講評 | 当初は台湾での現地調査を行う研究計画を立てていたが、コロナにより現地調査の実施が不可能となり、テーマ設定自体の変更を余儀なくされるなどの困難に直面したが、ハーリー現象と現在の台湾人日本語学習者の比較検討という新たな問題設定を行い、適切な方法を用いて研究に取り組んだ。また本研究は日本語のほか、中国語、英語を用いてインタビュー調査を行い、それを文字起こし、翻訳してデータとして用いた。そのような難易度の高い調査を遂行した点を高く評価したい。その一方、台湾における「日本への愛着」は個人レベルの動機のみでは説明できない。それがどのような政治・社会的状況のなか生み出されているのかというより構造的な要因の分析もあるとより包括的な分析になっただろう。 |
キーワード1 | ポスト哈日現象時代 |
キーワード2 | 日本語学習者 |
キーワード3 | 日本経験 |
キーワード4 | |
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