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学科 | 社会学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | ネットの誹謗中傷における傍観者は援助者になりうるか?―インターネット上の援助行動の生起要因を考える― |
内容 | 本研究は、昨今社会問題化しているインターネット上の誹謗中傷問題に関して、加害者や被害者ではない第三者の援助行動について分析を行った。学級内や会社などの実社会におけるいじめ研究をもとに、第三者の行動がインターネット上の誹謗中傷の深刻化や沈静化に重要な役割を担うと考え、誹謗中傷において被害者援助を行う人々を対象に、活動の動機や活動に従事するまでの過程についてインタビュー調査を実施した。 インタビュー調査の分析の結果、援助行動は、援助者自身がもともと持つ誹謗中傷に対する小さな問題意識が偶然の出来事により高まって生じることが明らかとなった。また、援助行動には困難や苦労が伴うため、一見自己犠牲的に見えるが、援助者は活動を継続するなかで誹謗中傷を自分事化し、自分のために活動を行っている側面があることを明らかにした。さらに、援助者の共通点として、幅広い活動に従事していること、人との交流機会が多いこと、共感力が高いことの3つを指摘し、言及を行った |
講評 | インターネット上の誹謗中傷は現代社会の深刻な問題の一つとして議論されてきたが、本研究はこのような問題をどのように解決することができるのかという問題意識を出発点とし「第三者」の存在に注目する。これまで「ネットいじめ」をめぐる議論は被害者と加害者の問題に限定されており、その点で「第三者」に光を当てた本研究には大きな意義が認められる。筆者は誹謗中傷の抑止活動のアクターへのインタビューを通し、行動の動機が自己犠牲的なものではなく、身近に起きた経験などから「自分のために行っている」という「自分ごと化」が起きていることを明らかにした。この分析に基づき、誹謗中傷への介入が「多くの人が持っている小さな問題意識から発現する」という提言はきわめて興味深く、とても完成度の高い論文である。「自分ごと化」を可能にする条件を個人の心理面のみでなく、社会学的に説明できるとさらによかった。 |
キーワード1 | 誹謗中傷 |
キーワード2 | ネットいじめ |
キーワード3 | 援助者 |
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