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学科 | 社会学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 「感動ポルノ」論の再考 主体として表現をする障害者の視点から考える |
内容 | 本稿は「感動ポルノ」について、障害を持つ当事者8人のインタビューを通して再考する。先行研究においては「感動ポルノ」の問題点や、障害者を感動の文脈で語るようになった歴史、「感動ポルノ」批判にとどまることへの警鐘などのさまざまな視点から語られてきた。しかし、そのどれもが健常者に描かれる側の人間としての立場に障害者を据え置いている。その前提のもとでは、「障害者をどのように描くことが正解なのか」「『感動ポルノ』は良いか悪いか」といった堂々巡りの議論から抜け出すことはできない。そこで本稿は、客体としてではなく、主体として自己のイメージを演出・表現する障害者の姿に焦点を当てることを目的にした。彼らの表現の方法はさまざまである。人を笑わせる手段として障害を使う者、積極的に障害を公表する者、言及しない者、そして特にこだわりを持たず場面で使い分ける者もいる。「障害者」の枠に決して一括りにできない彼らを浮き彫りにする。 |
講評 | 「感動ポルノ」論の丁寧な検討から出発し、一見、相反する立場に共通する「障害者を客体とみなしてしまう」という問題を抉り出し、そこから障害者を表現する主体として捉え直す必要性を示し、八名の表現者として活動する方々へのインタビュー調査を行った。限られた件数であるが、当事者の語りを丁寧に引き出し、それを単に類型として整理することに満足するのではなく、個々の語りを文脈に位置づけながら分析し、各自の個性や多様性を明らかにすることで、障害者をカテゴリーとして一枚岩的に捉え、個を見ないという構造的暴力をあぶり出すことに成功した。テーマのオリジナリティ、対象への共感力、分析に求められる冷静さ、研究の計画、先行研究の読み込み、調査の実施、分析と執筆を誰よりも計画的に進めたことが好論文として結実した。健闘を讃えたい。 |
キーワード1 | 「感動ポルノ」 |
キーワード2 | 障害者 |
キーワード3 | 当事者 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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