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学科 | 社会学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 森 千香子 |
タイトル | 若者の活動<action>とそれぞれの生活 ―6人の若者のインタビューを通して― |
内容 | 近年、経済不況や老後の貯蓄問題などにより、若者に求められるタスクは困難を極めている。そういった状況の中、周囲に目を向ける余裕もなく、ただ自身の生命を維持するためだけに働き続けた結果、若者は「労働する生き物」へと成り下がり、世界から多様性が失われるのではないだろうか。本稿では現代社会において、自身の理想を追求するために奮闘する 若者6人に対しインタビュー調査を行った。分析にはHanna Arendt著、『人間の条件』に登場する労働<labor>、仕事<work>、活動<action>という3つの枠組みを使用した。 その結果、3つのことが明らかになった。1つ目は、彼らは会社に搾取され続けるのではなく、逆に会社を自身の目標に利用していることだ。2つ目は、そういった目標の追求のためにそれぞれが大きな決断を取っていることである。3つ目は彼らが経験した苦難や抱いた想いに基づき、周囲に働きかけを行っていることが分かった。 |
講評 | 本研究は、自分の親世代の働き方や生き方に疑問をもち、それとは異なる働き方・生き方は可能なのか、という著者自身が抱える問いによって動機づけられている。アーレントの枠組みに依拠すれば、親世代の働き方は「労働」でしかなく、それとは異なる生き方とは「仕事」と「活動」のある生活であり、特に「活動」が重要であるとの見解が示され、事例として六人の調査対象者の語りが分析される。ラポールがしっかり形成された対象者からは豊かな語りが引き出されており、またアーレントの読解にも努力の跡が見られる。だがアーレントの枠組みと対象者の語りが合致していない点(職業的な成功を追求する対象者の実践は「活動」ではなく、むしろ企業などの組織で働くことを忌避する「反組織的な働き方」ではないか)が疑問として残った。 |
キーワード1 | 若者 |
キーワード2 | 活動<action> |
キーワード3 | 多様性 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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