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学科 メディア学科
年度 2022
ゼミ名 竹内 幸絵
タイトル  Z世代とハイブランド戦略について  ―ディオール、セリーヌ、バーバリーを例として―
内容 コロナ流行以降の2020年頃から、街中を歩いているとハイブランドバッグを持つ女性が急激に増えた。中でも購買力が強いとは言えないZ世代が高級なハイブランドバッグを持つことに疑問を感じたため、よく見かける3つのバッグを取り上げ、各ブランドの歴史やロゴについて研究を進めた。そこで共通点を見出すことができた。それは①デザイナーの変更、それに伴う②アイコニックを活かした新しいラインの創出③ロゴの変更であった。その中でも特に注目すべきはロゴの変更であった。長い歴史のあるブランドがその顔ともいえる特徴的なロゴをサンセリフ体の文字に変更している事実が顕著にあったのである。これは未来の生活者であるZ世代のSNSにおける承認欲求が大きいからこそ一目見ただけでわかる大きくてわかりやすいロゴのデザインが増えていた。つまり、SNSと共に成長してきたZ世代と大きくわかりやすいロゴのあるバッグというハイブランドの戦略が合致しているからこそ流行していると結論付けた。
講評 筆者はブランド好きを自認するが、その筆者も驚くほど、この2年ほどでZ世代の若者が高額なブランドバッグを持つシーンが増えたという。購買力が強くないはずのZ世代と高級ブランドとの相性が良いとは思えない。これまでは、資産を持つより上の世代をターゲットとしてきたはずのハイブランドが、なぜ若者にすり寄るような戦略を取っているのか。一見商学系のマーケティング課題のようにも見える問題設定だが、筆者の興味は、それら高額なブランドバッグの「見た目」デザインにあった。
まず筆者はハイブランドとは何か、その定義を考えることから始めた。歴史が長く王室御用達であるという条件の揃った3つのブランドを本論文では調査対象のハイブランドとした。そしてその3つのブランドの近年の戦略を検証した。いずれもが近年デザイナーを変更しておりていた。さらに、アンティークバックの新装デザインでの販売や、TikTokとのコラボ、アニメやゲームとのコラボ、ストリートファッションへの接近なども確認できた。富裕層からZ世代へとターゲットの矛先を変えていることがあきらかだ。そしてその中心にあったのがアイコニックバックだった。3社いずれもが、遠目から、あるいはインスタグラムの小さな写真においてでもそれとわかるデザインのバッグを販売していた。これを若者が持っていたのだ。筆者はこれについて、ブランド側とZ世代の双方がSNSでの拡散を期待しているデザインだと結論付ける。
卒論発表会での筆者の最後の問いかけが印象的であった。「近年のZ世代に向けたブランドの動きは、伝統を変えようとしているかに見える。しかし歴史があるからこそのブランドである。これを守りつつ、変革することは矛盾を孕んでいる」。筆者は歴史と伝統を打ち破り変革に踏み出したブランドが、これから歴史をどうつないでいくのか、不安と期待を持って注視していきたい、と発表を閉めた。
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