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学科 | メディア学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 竹内 幸絵 |
タイトル | コロナ禍時代における大学生の友人関係の在り方―SNSとキャラの活用― |
内容 | 新型コロナウイルスによって人との出会いや交流する場が制限された特殊な約3年間の中で、新たな人間関係を築いていく時期にある大学生は友人関係の築き方を変化させるしかなく、キャラの使用傾向も少しずつ変化してきたことが本研究で明らかとなった。コロナ禍では一つひとつの人との出会いや交流が貴重であることから、そのとき相手に与える自己の印象が重要であり、だからこそより一層キャラ作りを意識していることが推測できる。また、SNSが共通の趣味や関心を持つ人と直接繋がれることや既に築かれた関係を良好に保つために相手と繋がり続けられる点で向いていることが分かった。一方でSNSの自己の性格と乖離したキャラに容易に切り替えられる点がかえって表面的な関係を作ってしまい、それ以上親交を深めることが難しくなることから、リアルの友人関係を新たに築いていく場合には向かないことが分かった。 |
講評 | 大学生活を人間関係を円滑に進めるために場に応じたキャラクターを演じ分ける。それは以前からあったことだろう。しかしコロナ禍中で大学生活が始まった世代にとって、キャラクターづくりはそれ以前とは異なる特別な意味を持ったのではないか。彼らはバーチャルな出会いの中で人間関係をどう築いたのだろう。このような疑問はおそらく筆者自身が新入生をサークルなどで迎える際に抱えた問題(疑問)だったのだろう。リアルに会ったことが無いのに、関係がオンラインで深まっていく。この未来小説のような事態が現実に、身近にあった3年間。それがコロナ禍の大学生たちだった。そのような特異な環境下では対面での人間関係以上に「キャラクターを演じる」行為は、増えたのではないか。この仮説は、先行研究を参照しながら設問を設定をした筆者のサーベイでみごとに証明された。 オンラインという希薄な関係の始まりにおいては、やもすれば自分らしさを完全に封じ込め、まじめ、しっかり者、誠実、天然、癒し系キャラといったわかりやすいキャラクターを演じる必要があった。SNSは実生活から切り離しが可能だし、またメッセージ送信に瞬発力は不要で、ゆっくり検討してから送信することができる。こうした環境は「キャラを作りやすい」。 コロナ禍で友人関係を築きにくく、出会いも少ない。ましてやオンラインである。場を乱してまでの発言はできない。しかし理想像を演出し本来の姿を隠ぺいしていると深い関係には発展しない。こうした分析は切実であった。サーベイの結果が1-3年生と、4年生では異なっていた点も興味深い。4回生が1年目に「普通の」人間関係が築けていたことは大きかったのだ。 この論文はコロナというこの3年間の特異な環境下での大学生たちの現実を捉えた。今しか書けない論文であり、コミュニケーション論の基礎データとしても意味を持つだろう。卒論発表会での美しい言葉を使った筆者の発表も素晴らしかったことを申し添えて置く。 |
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