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学科 メディア学科
年度 2022
ゼミ名 竹内 幸絵
タイトル 『ドラえもん「STAY HOME」プロジェクト』の新聞広告から考えるコロナ渦における広告の社会的役割
内容 新型コロナウイルスの感染拡大は、「広告っぽくない広告」をいくつも生み出していた。①コロナ渦の人々を励ますメッセージ広告、②コロナ渦で見つけられる新たな幸せなどの情勢的な価値を訴求し、人々の精神面や感情面に作用する広告である。それらは、コロナ渦にいる私たちの感情に共振した広告であった。私は論文を通して、コロナ渦における広告の社会的役割は、①コロナ渦の人々を励ますこと、②コロナ渦の今私たちが取るべき行動を提案すること、③コロナ渦が生み出した新たな価値を提示することであったと考えている。数年後、数十年後、コロナ渦という特殊なライフスタイルを覚えている人は少ないのかもしれない。しかし、この論文に新型コロナウイルス関連広告やその時の人々の反応を残すことで、私たちがどのような気持ちでコロナ渦を生きてきたのか、記録することが出来ただろう。広告は、時代の空気の生きた記録であり、ジャーナリズム的な役割を持っているのだ。
講評 コロナ禍が突然訪れた2020年春、当該学年は1回生から2回生になったばかりだった。この年の4月29日に朝日新聞に掲載された広告、ドラえもんがマスクをし、大丈夫だよ、と励ます広告に筆者は心を動かされたという。実際筆者が調査会社のデータを参照したところ、この広告の直後にTwitterでつぶやかれた「ドラえもん」を含むツイート数は11万件以上あり、「涙が出た」、「安心した」などの声が多く上がっていたという。筆者はこうした「コロナ禍広告」と社会との関係の調査を卒論のテーマに選択した。卒論のテーマを考えるとき、指導者はこの学年に、コロナ禍に翻弄された足跡が残る、今だから書くことが出来る論文テーマを考えようと促した。筆者のテーマはそのど真ん中にあったといえる。
「コロナ禍広告」の多くは、印刷媒体だけでなく、テレビ、Youtube、Twitterなどあらゆる世代に届くことを目指したメディア戦略をとっていた。そしてそれらは「広告っぽくはい」広告だった。購買やブランド戦略につながる方策がほとんどない内容だったのである。そしてそこで使われていた言葉遣いも特徴的で(「励ます」「新たな幸せ」など)、筆者によるとこれらは分析対象とした合計9つの広告にほぼ共通していたという。そして筆者は「コロナ渦という特殊な社会背景に、近年の広告を取り巻く環境の変化が重なったことで、このような「広告っぽくない広告」がコロナ渦において広く伝播」したと結論付けている。
本論は論文というより天野祐吉が行っていた「広告批評」に連なる内容である。「コロナ禍広告」に対する実感は、おそらく数年後、10年後には薄れるだろう。本卒論を、この未曽有の状況下に大学生活の2年を過ごしたこの学年にしか書けない「広告評論」として評価したい。
キーワード1 広告
キーワード2 コロナ渦
キーワード3 インターネット
キーワード4 アフターコロナ
キーワード5 ドラえもん
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