詳細 | |
---|---|
学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 「モノ」が生きた痕跡―「喪の仕事」において「モノ」が持つ力― |
内容 | 本稿では、大切な人を失った後に経る心理過程である「喪の仕事」において、モノが持つ力を明らかにすることを目的とした。筆者は、遺品整理業を営む方へのインタビューの他、全国の「遺品・形見」が展示されている空間に赴き、死者のモノが公共の場に存在する異様さ、そこに至るまでの背景、モノが遺される意義について検討した。「モノ」は、人が亡くなり「遺品」や「形見」となることで残された人に良い影響も悪い影響も与える。しかし、「モノ」を手放したり、留めたりといった選択が残された人の「喪の仕事」を進めるうえで重要な意義を持つ。さらに、その「遺品・形見」が、「震災」などの社会性を持った出来事を背景にして生み出されたモノである場合、第三者にも出来事/感情を伝える役割を果たす。モノが社会で生きることを通し、残された人も社会の中で生きることができる。このように、「モノ」は生きている人に多くの意味を見出され、それゆえに遺されていく。 |
講評 | 「喪の作業」においてモノがいかなる役割を果たすのかについて考察した重厚な論考である。精神分析学や心理学などの理論的背景を土台としつつ、故人が生前所有していたモノ、遺された人の手元にあるモノが、いかなる道筋をたどって手放されたり寄贈されたりするのかについて、そのプロセスをめぐる多彩なありようを描き出す。ケア論のみならずモノ論としての展開も彷彿とさせる論考である。遺品整理士への聞き取りや、震災記念館等でのフィールドワークなど取り上げる事例も幅広く、理論的にも資料的にも行き届いた考察がなされている。 |
キーワード1 | 喪の仕事 |
キーワード2 | 遺品/形見 |
キーワード3 | 震災伝承 |
キーワード4 | 遺構 |
キーワード5 | モノ生 |
戻 る |