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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 中川 吉晴 |
タイトル | 日本的死生観の考察 |
内容 | 本稿では、日本人の死生観成立の背景とそれらを構成している要素に焦点を当てる。日本の文化がいかに日本人の死生観を構成してきたか、それが現代を生きる日本人にどのような影響を与えているかを検討することにする。具体的には、主に以下の 3 点に課題を設定する。第一に、日本的死生観の源流として神道や民間信仰に見られる死生観の特徴を明らかにする。第二に、生まれ変わりの観念を取り上げ、それらが表れている文献をもとに日本的な生まれ変わりの観念について考察する。第三に日本人の他界観についての考察を行う。これらを踏まえ、現代の日本人の死生観においては、どのような傾向や特徴がみられるかについて、総合的に考察する。 |
講評 | 本論文は、日本における伝統的な死の思想の変遷を追い、それを無常観と結びつけて考察したものである。死をめぐる思想については、神道、民間信仰(民俗学)、輪廻思想(仏教)、他界観(浄土)がとりあげられている。本論文では、それらについて古典文献(『古事記』『日本霊異記』『三宝絵』『勝五郎再生紀聞』『往生要集』など)を参照しながら考察している点が評価できる。さらに、多様な死生観が混在するところに日本文化の特質を見出し、その背後に、ものごとを絶対視しない無常観があることが指摘される。そして今日では、豊かな生を可能にしてきた無常観がニヒリズムに転化していることに文化的危機があり、無常観を甦らせる意義が問われている。多くの資料や異なる思想をとりあげながら、議論をとりまとめている点が高く評価できる。 |
キーワード1 | 死生観 |
キーワード2 | 神道 |
キーワード3 | 仏教 |
キーワード4 | 無常 |
キーワード5 | ニヒリズム |
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