詳細 | |
---|---|
学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 上田 眞士 |
タイトル | 働き方改革とワークライフバランスの課題と今後 -日本とドイツの比較を通して- |
内容 | 本論文では、以前から関心のあった日本のワーク・ライフ・バランスについてドイツと比較しながら議論を進めていく。日本の年間労働時間はドイツと比べ圧倒的に長いにも関わらず、一人当たりのGDPはドイツを大きく下回っており、労働時間に対する生産性は低いのが現状である。日本では人それぞれの働き方への価値観がある中で、それぞれがそれぞれの価値観を尊重できていない、 というのが根底にある。よって、上司がワーク・ワーク的な価値観を持って いる場合、ワーク・ライフ的な価値観を持った人が働きにくいという問題が生じている。ドイツでは、「家族・自分ファースト」といった考えのもとに働く人がほとんどで、プライベートな理由で仕事を後回しにすることも珍しくない。このようにドイツ人全員が共通価値観を保有しており、人々がすんなり受け入れる。そのため、まずは日本では全員が全員の「価値観の尊重・共有」を目指し、時代の流れによる変化に対応し、その時代時代に求められるワーク・ライフ・バランスのかたちを実現していくことが求められると考えている。 |
講評 | 皆さんから提出された卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「幸福度とWLB,働き方改革」「非正規雇用の労働問題と企業別組合」「AI社会における営業職の働き方」「美容師の働き方と労働環境」「東京一極集中と地方における雇用創出」等々となっています。たしかに個々の論文を取り上げてみると,その内容に精粗や優劣もあったように思います。けれども,コロナ禍の下での就職活動という困難の中でも,卒論作成という課題に対して,基本的にはゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労をしてくれた研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを卒論作業の締め括りの講評としたいと思います。 まず労働問題に限らず様々な社会的課題に,積極的な関心を持つということが,第一に大事な点だと思います。成長を第一義にしてきた経済社会は,格差社会の問題一つをとってみても,少なくとも先進国を見る限り,今日,大きな曲がり角に差しかかっているように思います。論ずべきこと,解明すべきことは,多発的でありしかも多層的であるといって良いでしょう。そのような社会的課題と切り結び,現実に対して緊張感を持って立ち向かう姿勢が,やはり社会科学の領域の研究には必要です。 また少々矛盾するようですが,論文の出来映えを決めるものは,政策提言の良否にではなく,問題把握や理解の深さにこそあるのだということ,この点も第二に大事なポイントであるように思います。言い換えれば,「わかりたい」という気持ちこそが大事なのだ。この点を強調しておきたいということです。昔からの有名な金言に「幽霊の正体見たり,枯れ尾花」という言葉があります。敢えて勝手な例え方をすれば,研究を通して「正体」を突き止めれば,人を脅かす怪異な「幽霊」も消えて行くのだと思います。社会科学的な認識の深まりが,そうした意味で人間社会の「自由」を拡大する。今も心に残る,若い頃に私が先生から教わった考え方です。役立つこと,実用的であることも確かに大事です。けれども私は「わかりたい」という気持ちを一番大切にして欲しい。そのように考えています。 |
キーワード1 | ドイツ |
キーワード2 | ワーク・ライフ・バランス |
キーワード3 | |
キーワード4 | 価値観 |
キーワード5 | 働き方改革 |
戻 る |