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学科 産業関係学科
年度 2022
ゼミ名 上田 眞士
タイトル ワークライフバランスが充実した社会への課題
内容 本論文では日本のワークライフバランス(以下WLB)支援の課題について、諸文献を参考に日本の現状を把握するとともに、海外(オランダ、スウェーデン)のWLB支援と比較して、論じる。
さらに海外との違いについて大きな特徴として、雇用システムに着目し、雇用システムと日本の労働問題、さらにWLBを大きな一つの問題として着目した。
分析の結果、日本のGDPは世界第3位の数字にも関わらず、労働生産性が低く「効率の悪い働き方」となっていることが分かった。また女性が働きたいにも関わらず働けない状況があり、男女平等という視点からも日本は海外よりも劣っていることも分かった。
雇用システムという面で考えると、メンバーシップ型は、ジョブ型よりも女性の昇進昇格が難しく、労働時間が長い傾向にあり、さらに賃金という側面でも同じ業務でも異なる賃金、つまりは同一労働同一賃金が実現し難い状況にある。女性の活躍、そして長時間労働の是正がない限り、いくら制度が整ってもWLBは実現不可能なことが伺える。
WLBないしは日本の労働問題を解決するために、メンバーシップ型である日本の雇用システムの見直しが必要となっている。
講評  皆さんから提出された卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「幸福度とWLB,働き方改革」「非正規雇用の労働問題と企業別組合」「AI社会における営業職の働き方」「美容師の働き方と労働環境」「東京一極集中と地方における雇用創出」等々となっています。たしかに個々の論文を取り上げてみると,その内容に精粗や優劣もあったように思います。けれども,コロナ禍の下での就職活動という困難の中でも,卒論作成という課題に対して,基本的にはゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労をしてくれた研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを卒論作業の締め括りの講評としたいと思います。
 まず労働問題に限らず様々な社会的課題に,積極的な関心を持つということが,第一に大事な点だと思います。成長を第一義にしてきた経済社会は,格差社会の問題一つをとってみても,少なくとも先進国を見る限り,今日,大きな曲がり角に差しかかっているように思います。論ずべきこと,解明すべきことは,多発的でありしかも多層的であるといって良いでしょう。そのような社会的課題と切り結び,現実に対して緊張感を持って立ち向かう姿勢が,やはり社会科学の領域の研究には必要です。
 また少々矛盾するようですが,論文の出来映えを決めるものは,政策提言の良否にではなく,問題把握や理解の深さにこそあるのだということ,この点も第二に大事なポイントであるように思います。言い換えれば,「わかりたい」という気持ちこそが大事なのだ。この点を強調しておきたいということです。昔からの有名な金言に「幽霊の正体見たり,枯れ尾花」という言葉があります。敢えて勝手な例え方をすれば,研究を通して「正体」を突き止めれば,人を脅かす怪異な「幽霊」も消えて行くのだと思います。社会科学的な認識の深まりが,そうした意味で人間社会の「自由」を拡大する。今も心に残る,若い頃に私が先生から教わった考え方です。役立つこと,実用的であることも確かに大事です。けれども私は「わかりたい」という気持ちを一番大切にして欲しい。そのように考えています。


キーワード1 ワークライフ バランス
キーワード2 ジョブ型雇 用
キーワード3 働く女性
キーワード4 同一労働同 一賃金
キーワード5  
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