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学科 産業関係学科
年度 2009
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 日本の小売業の労働時間
内容  2008年6月に、SHOP99名ばかり管理職事件の裁判が始まった。マクドナルドに続く名ばかり管理職事件である。原告は毎月100時間以上の時間外労働をしていた。近年、24時間営業のコンビニエンスストアや、深夜まで営業時間を延長しているスーパーなどをよく目にする。最近ではCO2削減やワーク・ライフ・バランスの実現をめざして営業時間見直しがはじまっているものの、まだまだ大きな動きは見られない。本論文では、小売業における営業時間と正社員の労働時間はどのようにリンクしているのか、および非正社員と正社員の労働時間の違いを分析した。また、小売業とほかの産業と比べ、どのくらい労働時間に差があるのかを解明した。さらに、日本と諸外国の労働時間を調査、比較し、労働時間短縮ができている国の政策や制度を確認した。以上の分析をふまえ、日本の小売業の労働時間における問題点、解決策を提案した。
講評 暮れの提出を経て、一昨日ようやく卒論の口頭試問が終了した。日本の貧困問題、非正規労働問題、女性雇用とワークライフバランス、日本農業の自立など、今年も若さというアンテナが捉えた時代を反映したテーマが並んだ。テーマ設定それ自体から、若くはない私はいろいろと学ぶことが多かった。教員はこのようにも学ぶのだということを、学生の皆さんに教えてもらった。以下、私の講評を書いていこう。
卒論を読むなかで感じたことの一つは、データの吟味が足りないということである。自己の主張を証明するデータを捜すことのみに気を取られ、データーの質に対する吟味がおろそかになりがちであった。したがって、そのデータをどのように使用したならば自己の主張の正しさを証明できるのか、論文の論理の構築が今一歩であるものも見受けられた。
卒論を読んでいて感じたもう一つの感想は、歴史的パースペクティブから卒論のテーマと格闘するという視点が弱いということである。しかし、これは別に卒論に限らない。授業で学生の皆さんの意見を聞いたり、試験答案やレポートを読んでいても常々感じることである。なぜある事柄がそのような状態で、そこにあるのか。そのことにはもちろん問題がたくさんある。早急に解決が求められることも確かである。しかし、そのことがそうであることには何らかの理由があったのであり、そのことがそうなっていることを、歴史的パースペクティブの中で考察することなしに、今後の解決策を考えることはできないであろう。また、そのような長い時間軸での考察なしに作られる解決策は長くもたないものにしかならないのではないか。皆さんはどう考えるであろうか。

キーワード1 小売業
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キーワード4 労働法
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