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学科 | 社会学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | コミュニティから考える路地活用の可能性 ―京都市の事例をもとに― |
内容 | 本稿では、京都の路地活用型事例を取り上げ、人々がつながる場所になっていることに着目し、活用路地がコミュニティ形成に与える影響や、その実態を明らかにしている。かつて生活空間として当たり前のように存在していた路地は、老朽化や高齢化など様々な問題から空き家化が進み消失しつつある。しかし近年、路地の価値を見直し、新たな形で保存再生しようとする動きがみられる。その中でもコミュニティ形成がなされている3つの活用事例に焦点をあてた。活用に至るまでに関わる3つのアクターにインタビューを行い、そこから路地活用の可能性と実態が見えてきた。活用された路地では、新しく移住してきた人中心のコミュニティが形成されており、定期的な交流が生まれ、ヒューマンスケールな空間が生かされていた。しかし、ただ空間があるだけではなく、人々の工夫や働きかけがあることによって、つながりが生まれているということがわかった。一方で、路地ならではの様々な規制によって、災害への対策を十分に行った活用が難しいなどの問題が生じていた。このような課題に対し、形成された顔の見える関係性の力で、災害時にも助け合い協力することが重要だと考える。 |
講評 | 京都市内には歴史の古い路地空間が多い。そのうち、リノベーションをして魅力化したうえで、商業や観光利用ではなく、コミュニティの場として利用されている3つの路地空間が本論文の取材対象である。いずれもヒューマンスケールな路地空間に魅力を感じて来住した新住民が中心となり、ユニークなアクティビティが行われている。筆者は、これらの路地空間に飛び込み、関係性を作ったうえで、各々の仕掛人、空間をリノベーションした人、空間を利用する人々の3者に対し、目配り良くインタビューを実施した。その取材力は高く評価できる。路地の空間活用のビジョンの紹介にとどまらず、その利用者がいかにつながり、集まっているのかを描いた点が、社会学的である。研究の発展のためにはもう少し多くの事例が必要だが、都市論の理論的文脈も適切に踏まえられており、広がりのある論文である。 |
キーワード1 | 路地活用 |
キーワード2 | コミュニティ |
キーワード3 | ヒューマンスケール |
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