詳細 | |
---|---|
学科 | 社会福祉学科 |
年度 | 2022 |
ゼミ名 | 鈴木 良 |
タイトル | きょうだいに今すべきアウトリーチとは |
内容 | 筆者には発達障害の特性を持つ弟がいたことから、生活する上で様々な課題に直面した。このように、筆者と同様に特性をもつ人の兄弟関係にある、いわゆる「きょうだい」について、子ども時代や必要なサポート、大人になってからどのように障害をもつ兄弟と関わっていくのかを、先行研究や実体験、インタビュー調査通じて研究した。 調査の結果、子どもの頃からきょうだいには「役割責任」が重くのしかかっていることが分かった。そして、大人のきょうだいはきょうだい児とは違い、親亡き後を具体的に考えており、当事者にしか分からない責任の重さがあることが明らかになった。そのようなきょうだいにすべきアウトリーチとは、気軽に相談できる場所の提供が一番に挙げられる。きょうだいは、「自分だけ」という気持ちが多くある。きょうだいに身近な人間がきょうだい会に繋げたり、きょうだい会を学校の先生など、多くの人に知ってもらえるように活動することが重要だと明らかになった。 |
講評 | 本研究は、障害者のきょうだいの抱える課題や支援のあり方を明らかにするために、先行研究の分析や「京都きょうだい会」の職員へのインタビュー調査が行われている。 筆者は、自身が障害をもつ弟のきょうだいとして様々な悩みを抱えてきた。このため、障害者のきょうだいとしての自らのことをさらに理解し、全国で同様の課題を抱えているきょうだいの問題を明らかにするという個人的動機からこの研究がなされている。この研究の結果、きょうだいが抱える具体的な悩みや課題、支援策が明らかにされた。 この研究は、まさに当事者研究としての側面がある。筆者自身がきょうだいゆえの様々な困難と向き合うということから研究が行われている点に特徴がある。そして、「京都きょうだい会」の職員へのインタビューは長時間にわたっており、貴重な語りを引き出すことに成功している。このような研究自体が極めて少なく、当会へのインタビューがなされたこと自体が、これまでなかったのではないかと思われる。この点で、本研究は貴重な成果を提示している。 これからもきょうだいとして生きていくことに伴う困難が予想される。とりわけ「親亡き後の不安」問題は、きょうだいにとっては深刻な課題である。これからもこうした課題を解決するための相談支援体制をどのように作るべきか、ソーシャルワークはどのように介入できるかといったことを引き続き考えてもらいたい。 |
キーワード1 | 障害者 |
キーワード2 | きょうだい |
キーワード3 | 親亡き後 |
キーワード4 | インタビュー調査 |
キーワード5 | アウトリーチ |
戻 る |