詳細
学科 産業関係学科
年度 2009
ゼミ名 千田 忠男
タイトル 大学の就職活動における問題点
内容  大学生の就職活動について、早期化長期化と地域格差の問題を取りあげ、きわめて深刻な事態で解決策が求められていることを指摘した。一つ目の早期化、長期化について、その原因がインターンシップの定着化であることを指摘した。インターンシッブは、本来の実務を経験させるためのものだが、その意図は失われ、企業の宣伝効果をたかめるための必須のイベントとなってきている。二つ目の地域格差について、地方に住む学生が非常に不利な状況下で就職活動を行うことから生じる不平等によって地方の優秀な学生を見落とす可能性があることを指摘した。聞き取り調査から、企業の採用活動が主要都市でしか行われていないこと、地方の学生は都市近郊に住む学生の何倍ものお金や時間をかけて、選考に参加していることを示した。これらの問題点は、大学生の就職活動における根本の性格を揺るがすものであり、有効な解決策が求められていると主張した。
講評 すべての論文が現今において注目されている社会問題を取りあげているが、特に雇用労働問題と産業活動における諸問題を取りあつかった論文に鋭さが見られた。また、問題意識を鮮明にしながら複雑な問題事象に分け入るために方法を工夫するという姿勢も明らかであった。個々の論文に対しては次の点に注目して評価を加えた。
社会の中で生起する諸現象は、調査・検索による事実発見とその批判(考えられる反証をあげて、それにも耐えられるかどうかを試す)という手続きを踏むことによって、誰もが否定できない・誰もが認めざるを得ない・誰もがそこから出発しなければならない「事実」になる。そうした手続きが意識されているかどうか。
「事実」にたいする筆者の解釈を示す時にも、解釈はいく通りもありうるという事情を十分に理解して、自分の解釈を論理的かつ合理的に導こうとしているかどうか。
「事実」、「解釈」、「合理的な推論」をふまえて、合理的で実現可能な道筋をも含んだ「政策提案」をしようとしているかどうか。
これから社会で活躍する際に、卒業研究を通じて鍛えた理性を縦横に役立てることを期待して、詳細に採点した。
キーワード1 インターンシップ
キーワード2 就職活動
キーワード3 地域格差
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