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学科 教育文化学科
年度 2009
ゼミ名 越水 雄二
タイトル 多文化共生を目指す言語教育 ―オーストラリアのESL教育を手掛かりとして―
内容 本稿では、オーストラリアの言語政策およびESL教育の理念と現状を検討し、今後ますます多文化化する日本社会を考える上で、極めて重要な課題となるJSL教育の構築に向けた考察を行った。私が、オーストラリアESLから学び、導きだした結論は、「今後、日本の教育全体の中で、言語教育政策としてJSL教育を実際に打ち立てていくこと」、すなわち国家レベルの政策など「上からの施策」と、教育現場や地域における「下からの実践の積み上げ」という方法が不可欠である、という2点にまとめられる。
この結論を立証するために、以下第1章では、1970年代以降のオーストラリアの言語教育政策を概観し、その中で生まれ、広く社会に提供されるようになったESL教育に焦点を当てる。続く第2章では、川上郁雄氏の現地調査をもとに、学校現場でのESL教育実践と、「体験型学習」について、自身のボランティア体験の報告も含めて論を進め、第3章の「日本におけるJSL教育の構築へ向けた考察」につなげる。
講評 ロバート・オーエンの教育観、ヴィアトリクス・ポターの作品をテーマとした論文は、19世紀イギリスの社会と文化を背景に、二人がそれぞれの生涯をかけて人間形成論と絵本の世界を築いていった過程を学ばせてくれる。スペインの少子化問題、ドイツの環境教育、オーストラリアの第二言語教育を扱った論文は、各国の歴史や文化に関連付けて問題を理解させてくれると同時に、今後の日本社会の在り方と私たちの暮らし方についても考えさせてくれる内容であった。日本でも実践可能な教育方法を探ることを目的に、フィンランドの国語と理科教育、イギリスの中等教育をテーマにした論文と、現代日本のフリースクールを扱った論文は、初等・中等段階の学校教育を対象とする考察であったが、私には高等教育(大学)での指導を再考する材料も与えてくれた。以上の通り、今年度も、一人ひとりの自由なテーマ設定を出発点にしたユニークな卒論が揃ったことを私は喜びたい。
キーワード1 オーストラリア
キーワード2 多文化共生
キーワード3 言語教育
キーワード4 ESL教育
キーワード5 JSL教育
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