詳細
学科 メディア学科
年度 2010
ゼミ名 渡辺 武達
タイトル 日米「密約」問題の報道から考える密約のあり方とメディアの役割
内容  2009年9月16日,日米間の「密約」問題の解明を岡田克也外相(当時)が調査を外務省に命じた。外務省の有識者委員会もいわゆる「密約」があったことを認め,また東京地裁も2010年4月密約の存在を認定した。「密約」問題は,新聞の一面にも掲載され,世間の関心を大きく集めた。「密約」問題は過去に一度,西山事件として注目を集めているが,記者の逮捕でメディアは「知る権利」の追求をやめ,密約は今まで否定され続けてきた。
 密約は民主主義社会において認められるものだ。密約が市民にとって有益であるためには,後世に説明責任がとれる必要がある。密約は後に明らかにされて,検討されることが不可欠である。秘密を認めるのならば,その管理や公開についても認められなくてはいけないからだ。
 密約公開についてのメディアの役割は,密約が結ばれた当時,利益をもたらすものであったとして,現在においてもう一度検証することだと考える。今回の密約問題の報道では,存否が目的となり,日本の安全保障など国民的な議論を必要とする「密約」問題の本質を指摘出来ただろうか。密約のあり方とともにメディアがどうすれば国民に議論を喚起出来るかを考察した。
講評  メディア学科のキーワードは①メディア②コミュニケーション③ジャーナリズムで、それらは学部から大学院博士課程後期まで共通している。つまり、情報のやりとりであるコミュニケーション過程の研究を通して社会の民主化に貢献するためのいとぐちをつかむことがメディア学の最終目標である。私のゼミではメディアと社会の関係に特化した卒論を書くように指導しており、今年も、現代社会のメディア状況を分析するという視点をもったものが提出された。今後の課題は変化の激しいメディアの技術論に惑わされない人間の情報活動の在り方についてその根源をえぐる問題にアプローチできるようにすることである。学生たちが情報流通の背後にあるビジネス論理と人間の幸せを同時に追求できるようになれば、さらに実りある卒論になるであろう。
キーワード1 国家機密
キーワード2 日米密約
キーワード3 報道
キーワード4  
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.