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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2013 |
ゼミ名 | 中川 吉晴 |
タイトル | エーリッヒ・フロムの「ある様式」について |
内容 | 本稿の目的は、エーリッヒ・フロムが提示した「ある様式」という人間の存在様式に着目し、それが内包する二つの性質の連関を探ることである。本稿では、まず、「ある様式」を論じる意義を明確にした。そのうえで、「ある様式」が人間の生のいかなる場面で顕わになるかを「人間的な力」という表現の意味合いを考察することで明らかにしている(第1章)。次に、「ある様式」で生きる人間に「固有性」と「開放性」があるのかを論じている。その際、フロムが親しんだ鈴木大拙の禅思想との関連に目を向け、それによって、フロムの思想が発展したことを確認する。そして、考察から明らかとなる「ある様式」の二つの性質を提示している(第2章)。最後に、「ある様式」における二つの性質が相補的な関係を有していることを示し、そこから示唆される「ある様式」と「持つ様式」の連関、さらには、「ある様式」の現代的な意義について言及している(第3章)。 |
講評 | この論文は、フロムの晩年の思想である「ある様式」と「持つ様式」に関する理論的考察である。フロムの諸著作を精査したうえで独自の緻密な議論を展開しており、「ある様式」の内的構造の解明に努めている点が評価できる。また鈴木大拙とフロムとの関係から、禅思想との関係についても踏み込んだ考察をしている点が評価できる。ある様式については、フロムの神秘思想の理解が鍵になるとおもわれる。禅思想だけでなく、ユダヤ神秘主義、キリスト教神秘主義などとの関連は、今後の課題である。 |
キーワード1 | エーリッヒ・フロム |
キーワード2 | 「ある様式」 |
キーワード3 | 鈴木大拙 |
キーワード4 | 存在様式 |
キーワード5 | |
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