取組のねらい

1 創造的学力の開発を

近年、大学教育の質の向上が盛んに議論されていますが、専門的知識を学ぶだけでなく、実社会の中で新しい知識を自ら生み出し活用する能力、それを他者にも積極的に説明し共有する態度を育てる教育が大学に求められています。そのような知識・能力・態度の全体を私たちは「創造的学力」と定義し、その育成を目的に今回のプログラムを申請しました。

同志社大学社会学部は、社会学・社会福祉学・メディア学・産業関係学・教育文化学の 5学科を擁する、全国的に見ても専門教育カリキュラムが最も充実した社会学部であり、少人数教育という点でも恵まれた環境にあります。その中で、今までの社会学部学生は、学年の進行とともに各学科・各ゼミナールへと進みながら専門性を高めていました。

半面、専門性を支える基礎学力やコミュニケーション力の開発は個別的な努力に委ねられていました。現在の学生たちにとって、将来の社会人としてのキャリアに狭義の専門性を活かせる範囲は限られています。 4年間の学士課程が社会人としての応用力を、専門性とともに効果的に高める好循環となっていくためには、実践力ゆたかな創造的学力の一貫した開発が求められています。

2 四年一貫して目的意識を探求

2009年度から社会学部の全学年が今出川に統合されるのを好機に、学生各自が四年間を通じて何を学ぶのかを常に自覚し、卒業後のキャリアへの展望をより明確にもてるようなカリキュラムを考えました。

導入教育 一年次の導入科目で、データと論証をふまえた主張型レポートの書き方や、グループでの討論の作法をしっかり学ぶとともに、互いに啓発しあえる環境をつくります。

基礎教育 二~三年次生中心の副専攻科目の中に学科横断的なプロジェクト科目を設定し、専門教育の基礎となる、資料検索、統計学、異文化理解の実践力を集中的に鍛えます。

創造教育 四年次での卒業研究を素材に、学生主体の出版物の編集、ホームページの作成、討論・報告会をおこない、卒業後にも通用するプレゼンテーション力を高めます。

以上を専門教育と並行させながら、学部共通の四年一貫したカリキュラムとして有機的にリンクさせることで創造的学力をパワーアップし、総合的な学士課程教育を実現させます。

プログラム

3 相互チュータリング制の導入

高度な学力を育成するためには、学生が相互に啓発しあい成長できる環境が重要です。この取組では、同じ学部の先輩が後輩をクラスでサポートするチューター制を導入します。気軽に質問し相談できる先輩がいることで教育効果を高めます。また、チューターに選ばれた学生諸君にも、後輩にアドバイスする立場になることで自分の学力を深め、あるいはクラスをまとめるリーダーシップやコミュニケーション力を身につけ、人間として成長してくれることを期待しています。これは広い意味でのキャリア教育となることも目指しています。

実施体制

4 多次元的な教育評価を

教育を効果的にするために、教員から学生への成績評価、および学生から教員への授業評価だけでなく、学生間の相互評価の導入に前向きに取り組んでいきたいと思います。自分の発表等に対する同級生や先輩後輩からのコメントは、時には教師による評価よりも大きな意味をもつでしょう。また、学生諸君はお互いに意見しあうことで、他人への言葉づかいや態度がいかに難しいものであるか、あらためて学ぶことでしょう。「他者への配慮」という人間教育を何より大切にしたいと思います。

私たちは、今後の様々な教育実践のためにできるだけ多くの記録やデータを残し、発表していきたいと思っております。各種のアンケート調査やチューターによる実践記録も、このGPホームページに逐次公開してまいります。

評価アンケート

従来今回の取り組み