創造教育 活動報告

2009年1月26日 立教大学・服部孝章ゼミとの討論会の報告

1月19日、立教大学池袋キャンパスで、同志社大学社会学部メディア学科・浅野健一ゼミは、文部科学省「教育 GP 」支援によって、立教大学社会学部メディア社会学科・服部孝章ゼミとの討論会を行った。

討論会は午後1時より、立教大学池袋キャンパス X10号館X308教室で行われ、浅野ゼミからの参加者は18名、服部ゼミからの参加者は33名で、合計51名の学生が熱心に約4時間半、意見を交換した。

第1部 浅野・服部ゼミの研究報告・質疑応答

 

まず討論に先立ち、両ゼミによる共同研究報告が行われ、はじめに浅野健一ゼミ14期生がゼミ員紹介並びにゼミの研究報告を行った。共同研究のテーマは「表現(報道)の自由とメディア規制。報告の中で、裁判員制度の開始を控え、報道倫理綱領の制定と報道評議会設立に向けた「日本版メディア責任制度試案」を発表した。

質疑応答の時間には、服部ゼミ側から浅野ゼミ・同試案に盛り込まれている「匿名原則」についての質問が多く出された。試案では、現在の起訴・裁判前の犯罪報道が、「20歳を過ぎている大人は逮捕されたら実名」「被害者は死亡すれば実名」としているのに対し、「警察のアクションとは関係なく、被疑者・被害者の姓名を伝えることにパブリック・インタレスト(人民の権益)があるかどうかで判断する」「最初は匿名からスタートして、現場の記者とデスクで必要と判断した場合に顕名とする」と提唱している。

しかし、立教大学側から、「なぜ実名報道ではいけないのか」「事実をそのまま報道するのが報道機関の役割。警察に逮捕されたという事実を報道するのは当然だ」という問題提起があった。また、「匿名原則の除外規定(顕名報道)はどのような場合に行うのか」「報道することで犯罪を誘発するということはないか」などについて活発に意見が交わされた。

討論会に参加していたメディア学専攻の講師から、「実名報道しても、報道された人が犯人ではないという認識が社会にあれば問題ないのではないか」「メディアの問題は、社会の諸問題の一つであり、メディアだけで論じられない」という趣旨の問題提起があった。

質疑応答の後、研究報告について服部孝章教授による講評が行われ、「日本で、人権とメディアを結び付けて本格的に研究している学者や学生は少ない。そういった意味で意義のある研究だ」との評価をいただいた。

続いて服部ゼミの研究報告が行われた。研究テーマは「それでも、スポーツ報道は必要だ 斎藤佑樹(早大投手)と斉藤俊(元大相撲力士・時太山)をめぐる報道姿勢」という内容で、「思考停止」に陥っているスポーツ報道の問題点についての研究発表が行われた。質疑応答の時間には、スポーツ報道の社会的意義などについての質問が行われた。服部ゼミによる報告の最後に、浅野教授が「多くの取材をした上での研究報告はすばらしい。本来のスポーツ報道をするためにも、各社共通のガイドラインが必要だ。大相撲の力士の死亡事件で、警察が動くまで書けない犯罪報道の現状が問題だ。私たちの研究とつながるところがある」と講評した。

第2部 討論会

 

討論会は事前に各ゼミが提案した4つの事件について、報道の問題を検証し、討論した。各ゼミが提案した事件は以下の4つである。

「同志社大学ラグビー部員による、わいせつ目的略取未遂被疑事件」
「同志社大生の大麻所持被疑事件」
「時津風部屋力士暴行死事件」
「大相撲幕内力士による大麻被疑事件」

まず、各ゼミによって事件の概要が説明され、報道の問題点が論点として挙げられた。今回特に議論が白熱したのが、「大学の教育課程外で起こった事件について、大学名を報道すべきか否か」という点であった。このテーマについて、服部ゼミからは「同志社大学の女子学生の大麻所持は大学の外(神戸市の自宅)でなされたので、大学は無関係と言うが、そもそも学外と学内は明確には分けられない」「大学名を出すことで、類似事件を起こしてはならないと気を付けるようになる」「有名大学の学生が大麻で逮捕されたというのは、その大学を受ける受験生にとって必要な情報だ」「大学側の責任を明らかにするため、大学名は必要である」といった意見が出た。

これに対して同志社側は、「メディアがすべきことは事件の再発防止となる報道であり、そこに大学名は必要でない」といった意見や「現在の報道のように有罪か無罪かも分からない時点で大学名を出すことは危険だ」「個人名や団体名がなくても、問題の深刻さを考える想像力が大切ではないか」といった意見が出て、議論は盛り上がりを見せた。

( 以上 )

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