卒論作成を振り返って
五十川 有香
(上野谷ゼミ)
私の卒論のテーマは、「地域福祉計画の比較研究」です。このテーマにしたきっかけはというと、2回生の後半でコミュニティソーシャルワークと地域福祉概論を学び、地域福祉に興味を持ち、3回生の夏の施設実習で社会福祉協議会に行ったことです。社会福祉協議会というものは、あまり福祉の分野で地域住民に実際どんな活動をしているのかということはあまり知られていないと思います。実は、地域分権化の社会のなかで、福祉分野も個々の種別ではなく、「地域」という場の共通点の中で福祉を活性化させていこうという取り組みに欠かせないものとなっています。
私は社会福祉協議会での実習中に地域福祉計画の策定過程に少し関わらせていただき、計画を立てる過程の重要性を感じました。そして、講義やフォーラムなどを通して、現在、地域希薄化が言われている中で、地域活性化を成功している地域も数多く存在していることを知りました。私は、なぜ地域という枠でここまで違いが出るのだろうか。と疑問に思い、推進している地域の計画の特徴を見て、実際に上手くいっている地域はどういった経緯を経て計画作りをし、取り組んでいるのかというのをみて、今後、地域福祉がより発展していくようにどのような視点からみていけばよいのだろうかということを考察しました。
卒論研究を始めていく中で、担当教授が地域福祉の専門であったということもあり、資料も豊富で取り組みやすかったのですが、苦労した点はその情報量をどこの視点にあててしぼり込むのか。という点でした。卒論ではここが一番重要といえる過程だと思います。地域福祉計画といっても様々な人がかかわっており、これをどう集めるのかということや計画自体の存在価値など様々な視点がありましたが、私は「住民参加のあり方」というものに視点を置きました。絞り込む中でオリジナリティが出せると思います。
卒論を書き上げていくなかで感じたことは、文献研究だけではなく、様々なフォーラムに参加し、いろいろな考えの住民の方と接し、また先生方の貴重なお話が聞けたりしたことで多くの方の価値観に触れ、卒論内容への一番の刺激になり、将来の自分の仕事とも関連させて考えることが出来ました。完成して感じたことは、やはり、4年間学んできた社会福祉の中の自分の興味のある出来事をとことん調べるという作業は時にしんどく思いますが、実際完成品を見てみると気持ちいいものだと思いました。やらされるのではなくて、自ら好きなように調べるという作業は大学の学びの特徴であり、卒論は本当に大学生活において集大成のものだということを実感しました。
<ゼミでの取り組み報告>
3回生のときは自分の興味ある新聞記事を紹介したり卒論の書き方を学んで、4回生は興味のある分野の文献をみたり、おおまかな種別に分かれて個々に教授にみてもらっていました。また、 TAの方が書き方もあわせて全面的にバックアップしていただきました。後半は、毎回3人ほどずつ卒論発表と討論をし、内容について先生をはじめ研究を深めていくためのアドバイスをお互いしていました。テーマの分野としては各々、自分の好きな分野を調べていました。
<これから卒論に取り組む皆さんへ>
卒論で迷うのはテーマ決めだと思います。様々な資料をみるだけでなく、自分自身の大学生活を振り返ってテーマ探しをしてみてりするのも面白いと思います。ゼミによって進度は違いますが、自分自身、提出の日に満足のいくものを出せるように好きな時期から、好きな形で調べて書いていくことが一番楽しいと思います。私が感じたのは、情報を教授や先輩、現場の方、友達など様々な人から聞くと文献だけでは見えない情報が聞けて、とても充実した内容のものが出来るのではないかと思いました。卒論作成が良い思い出となるように頑張ってください。