創造教育 活動報告

2008年度 社会学科 鵜飼ゼミ 卒業論文 相互批評集

MM著

異性装漫画における性別越境の可能性 ― 『少女少年』が作り出す新しい時代 ―

性の多様性が認められてきたように思われる現代の日本で、女装・男装など異性装を題材とした漫画は数多くある。それら「異性装モノ」の漫画が性のありかたとどう関わってくるか、また思春期の少年少女たちにどのような影響を与えるか。著者が小学生であった頃から最近まで8年間続いてきた漫画『少女少年』シリーズを中心に取り上げ論じた。

2章で今回取り上げる異性装漫画について定義し、3章では『少女少年』シリーズの紹介に始まり、小学生向けの学年誌に1年間ずつ連載されていたため思春期の子供に影響を与えやすいこと、作中で異性装を表現する手法の解説、さらにシリーズ中唯一他の作品とは掲載紙も物語のつくりも大きく異なるシリーズ8作目『 ~少女少年~ GO! GO! ICHIGO 』を取り上げ、作者やぶうち優と彼女のつくった『少女少年』シリーズが、社会の変化にともないどのように変化していったのかを検証した。その中で、最終的には性別越境の不可能性を示唆していたこれまでの異性装漫画とは異なる本シリーズの持つ可能性を論じ、4章でまとめた。

[キーワード]  異性装 漫画 ジェンダー 成長

MM 論文への 批評

やぶうち優の『少年少女』という異性装マンガ一つに絞り、作品上の登場人物や時代の流れと比較検証していくという一つのことを深く追求していくところがとても良い。大半が少年少女に対するMMさんの異性装に対する意見なので読んでいておもしろいと思う。
異性装マンガが思春期の少年少女にどのような影響を与えるのかについては、アンケートをとるなりしてなんらの結果がでていたら更に良かったかと考える。
好きなマンガであるからこそ、その主人公や周りの人間関係や心情の移り変わり、男・女という概念について、作品自体についてしっかり述べられていて論文らしいと言える。(IMY)

この論文では、メインに取り上げている異性装漫画「少女少年」について詳しく分析がされており、漫画にさほど詳しくない、あるいは「少女少年」を全く知らない読者でもきちんと理解ができるように、分かりやすい説明がなされている。実際に使われている絵を資料として挙げられていたので、言葉だけの説明ではなく、具体的にどういった違いが見られるのかを読者自身で確認できるのが良かった。ただ作品数が多いこともあり、あらすじ説明の部分が長いため全体像を把握するのに時間がかかった。また、あらすじに対して結論の部分がややあっさりしていた印象を受けたので、もう少し論文の後半部分に重点を置けば、全体的にまとまるのではないかと思う。最後に、この論文は著者自身の言葉で丁寧に書かれているので、著者の言いたいことが伝わってくる。私自身「少女少年」シリーズのうちの一つを読んだことがあるので、是非また作品に目を通して、違った視点から見てみようと思えるような論文であった。(MH)

立ち止まって、行き先が見えてから歩き出す若者が増えましたね。バカなことして遊んでいるうちに、面白いことが出てくるのにね。この論文、着眼点も素材も良いのですが、それを充分に活かす地道さとか、「頭の悪さ」が不足気味。MMさんは考えすぎですね。(UK)

一覧に戻る