NT著
本稿は、「『通じる』コミュニケーション ― 『沈黙』に耳を澄まし、自分の言葉を紡ぐこと ― 」と題して、情報が溢れ、変化のスピードが速い現代社会におけるコミュニケーションのあり方を提示したものである。第1章では、「論理的」な組み立てで「理性」に訴えかける方法と「想い」によって「感情」に訴えかける方法のどちらがよりよく相手に話が伝わるかということ、また、どのような方法が一番相手に話が通じるかという問題提起を行い、第2章ではその前者(「論理的」な組み立てで「理性」に訴えかける方法)を「論力」、「正論」という視点から、第3章では後者(「想い」によって「感情」に訴える方法)を「メディア力」、「言葉の二つの概念」、「沈黙」、そして筆者自身の体験(就職活動など)を踏まえて検証している。第4章では、まとめとして、ではいったいどちらの方法が現代社会には適しているか。あるいはどのような方法が一番相手に話が通じるのかをこちらも筆者自身の体験を踏まえた上で、今必要なコミュニケーション術として述べられている。
[キーワード] コミュニケーション 沈黙 メディア力 言葉
NT論文への批評
テーマとしては、我々とも関わりの深いものだったので非常に興味深かった。ただ、終始筆者の体験と持論を展開していたような印象があり、論文というよりはエッセイに近いような気がした。
内容は、筆者本人の考えを述べている部分が多いので、当然、筆者とは別の人間である私としては異を唱えたくなるような部分も数多くあったのだが、そういった意見が出ることも筆者はわかって書いているだろう。ただ、わかっているのだとしたらなおさら、参考文献や資料が筆者の考えに近いものばかりに偏っていたことは残念だった。こういった、持論を展開するような論文であるならば、自分とは違う考えの人の文献も参考にして、それに対して自分の見解を述べるような広い視野を持ってほしかった。
また、文献もその文献の筆者の持論を展開しているようなものが多かったので、第三者的な離れた視点から冷静に物事を見ているような学術的なものも、もっと参考にしてほしかった。(HY)
NT君の卒論を読んで全体的にもっと「沈黙」について詳しく書いて欲しいと思いました。最後まで読んで、「沈黙」がわかったようなわからないようなそんな雰囲気で私には少し難しく感じました。しかし、初めのメディア力についてはとてもわかりやすく共感できる部分もたくさんありました。メディア力を高めることは自分にとって辛く、メディア力が高い人たちの中で過ごす安心感など非常に共感できました。例にあった就職活動の面接など、メディア力がない者同士だからこそ新見君が言う、心が傷ついたりしやすい環境にあるのだと感じました。お互いにとってメディア力がない場所で上手くコミュニケーションがとれるわけがないのです。もっとこのことを早く学んでおけば、就職活動中もあんなに心は傷つかなかったような気がします。(ST)
ある意味で、NT君は自分を表現する方法を確立させている人なので、論文でもメールでも同じ文体になりますね。これ以外に書きようがないんだね。でも、そのことを多くの人に理解してもらうのはむずかしい。2年かかって、私はやっと理解できましたよ。ふう~。(UK)